辛丑(かのとうし)─ 終わりと始まり ─

在宅介護終わりました。私の場合は『こんなでした』をご参考までに。

自宅で亡くなる (1)

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死体検案書
<在宅介護、終わりました。

5月〇日 午前7時過ぎ。
なかなか起きてこない母を見に行くと様子がおかしい。
声をかけても返事がないし、眠っているにしては…。
慌てて妹を呼ぶ。
昨夜からたまたま来ていて今日はここから出勤の予定だった。

妹に119番通報を頼み、私は訪問看護ステーションに連絡をした。
妹:「すぐ来てくれるから、人工呼吸して!ベッドの上より硬い床の方がいいって」
二人で母を畳の上に下ろし、交代で人工呼吸を試みた。
私:「保険証とお薬手帳!私が(救急車)に乗っていくから」
ここ数年、何度も救急車のお世話になっているので病院到着時に必要なものが何かはわかっていた。

妹と交代で人工呼吸を施し、手早く準備しているうちに10分とかからず救急隊の方が3名到着。
母が床に横たわっているのをみて
「どうしました?ベッドから転落したんですか?」
「いいえ、人工呼吸をするために下ろしました。電話でそう指示して下さったので」
1人の救急隊員に人工呼吸をかわっていただき、他の隊員からの質問に答える。

  • 救急連絡した時の状況
  • 母の年齢
  • 持病
  • 飲んでいる薬

救急車に乗り込めるのは1名。
救急車はすぐに出発した。朝の幹線道路は混雑していたが、救急車は渋滞をすり抜け10分程で△△救急センターに到着。
母はすぐに処置室に運ばれた。
私は待合室のようなところで待つことに。

暫くして医師がやってきた。
その厳しい表情から絶望的な結果が予想できた。
医師:「とても厳しい。ずっと心肺停止のままです。今は機械で心臓を動かしている状態ですが、どうされますか」
ああ、希望がないからもう機械を止めましょうと言うことか…。
医師:「このまま続けていても肋骨が折れたりするだけですし…」
私:「妹がもうすぐ到着します。それまでは続けてもらえますか」

助かるのなら母には痛くても我慢してもらいたい。
そうでないなら、肋骨が折れても痛くもないでしょうに。
医師はちょっと嫌な顔をした。

20分程して妹が到着。すぐに2人で処置室に入る。
機械の下で母が頑張っていた。
でも、とうとう戻ってこなかった。

機械を止めていただき、医師から死亡宣告を受ける。

看護師:「少し処置をいたしますので、待合室でお待ちください」

処置が終わった母は霊安室(?)に移された。
母はとても安らかな顔をしている。
「残念だけど、仕方ないね」と二人で話した。

暫くして警察官(刑事2名)がやってきた。
刑事:「I警察の〇〇です。こちらは◇◇です。この度はご愁傷様です。警察が着て驚かれたと思いますが、ご自宅でお亡くなりになったような形になりますので、まあ形式的なことですが、警察が視ることになっているのでご理解のほどを」

母のこと(生年月日、家族構成、どこで生まれたか、学歴、職歴、病歴、趣味趣向等)を一通り聞かれる。
刑事:「これからお母さんはI警察に運ばれることになります。そこで検死といいますか、警察がお願いしている医師にみてもらって、それからご帰宅ということになります。
Aさん(私のこと)は一旦ご自宅に戻って下さい。私らも後ほどお宅に伺いますので。またそこでお話を聞かせてください」

自宅で亡くなったので事件性がないかどうか調べられるのですね。

帰宅してからケアマネジャーに電話をする。△△救急センターの待合室からも母のことは連絡済みだったが、利用しているサービス先への連絡も再度お願いした。
ケアマネ:「そうですか、とても残念です。デイへの連絡などは私が全てやっていますから大丈夫です」
デイや訪問看護、レンタル中の福祉用具のことも全て手配をしてくれた。

それから間もなく警察の方がやってきた。
刑事:「部屋を見せてください」と母の寝室に入る。
〇〇さんからまた母のことを聞かれている間、もう一人の◇◇さんが部屋の写真を撮ったり、室温を測ったりしていた。
他にも隣人にもうちのことを少し聞いていったようだった。

刑事:「すみませんね、最後がご自宅だと一応調べないといけないんですよ。また4時ごろに連絡します。I警察署の方に来ていただくことになります。それからご葬儀の準備とかあるかと思いますが、どちらか(葬儀会社)ご存知ですか?」

父が亡くなった時にお願いした◆◆葬儀社にお願いするつもりだと伝えると

刑事:「それなら◆◆葬儀社の方にも警察の方に来てもらって。◆◆葬儀社の方に段取りをお聞きになったらいいでしょう」
刑事さんたちは30分程で帰って行った。

◆◆葬儀社に電話した。
今朝自宅で具合が悪くなり、救急車で運ばれたが亡くなってしまったこと、母は今まだI警察にいて、自宅に戻ってくるのは夕方以降になることを伝えた。
葬儀社の方は「それならI警察で落ち合いましょう。お母様はこちらの車でご自宅に戻っていただきましょう」
湯灌(ゆかん)のことなども簡単に打ち合わせをした。

夕方I警察署に行くと◆◆葬儀社の方(Nさん)も待っていてくれた。
〇〇刑事さんが来てくれ、
刑事:「W病院のW医師の検視も終わりました。こちらが死体検案書(死亡診断書にかわるもの)になります。先生によるとやはり心不全だろうということで。色々驚かれたと思いますが、後は◆◆葬儀社のNさんに任せて。ちゃんとやってくれますから」

朝救急車で運ばれてから9時間後、やっと母が家に戻ってきた。